海外展示会は、出る前に決まる kogei_ai 2026年9月2日

海外展示会は、出る前に決まる

海外の展示会にお誘いを受けた、あるいは出てみようかと考えている。そういうご相談を伺うことがあります。このとき、費用に見合うかどうかで迷われる方が多いのですが、見合うかどうかを決めているのは、たいてい会場ではありません。出る前に何を決めているかで、同じ費用でも持ち帰るものが変わります。

出る前に、持ち帰るものを決めておく

その場で注文をいただくことだけが成果ではありません。むしろ最初の出展では、どこの誰が、何に反応したかを持ち帰れれば十分です。寸法についてなのか、価格についてなのか、手入れの仕方についてなのか。反応の中身が分かれば、次の一回を組み立てられます。

持ち帰るものを先に決めておくと、会場での動き方が変わります。名刺を配った枚数ではなく、話を聞けた数を数えるようになります。配ることを目的にすると、たくさん配れた日は良い日ということになってしまいます。けれども、翌年に残っているのは枚数ではありません。

この考え方は、国内の展示会でも同じです。展示会は売る場というより、取引先と出会うための入口です。国内での使い方は展示会の使い方にまとめています。

会場で待つだけにしない

出展が決まったら、会いたい相手へ、こちらから先に連絡を入れておきます。当日の時間があらかじめ埋まっていれば、通訳の手配も無駄になりません。飛び込みで来られた方に応じる余白は、そのあとで確保します。

誰に連絡するかは、それまでの積み重ねで決まります。国内で手に取ってくださった方、日本を訪ねて来られたときに立ち寄ってくださった方。そうした縁が先にあると、海外での最初の一回が空振りになりません。いきなり外へ出るのではなく、国内の販路と、日本を訪れた方に手に取っていただく場面を先に置くのは、このためです。

連絡の中身は、長くなくてかまいません。いつ、どこの区画にいるのか。何を持っていくのか。会って何を伺いたいのか。この三つが書いてあれば十分です。

もうひとつ、社内で決めておきたいことがあります。その場で答えてよいことと、持ち帰ることを分けておくことです。数量、納期、値段、そして品物に手を入れられるかどうか。会場では必ず聞かれますが、その場の勢いで答えると、帰ってから作れないことに気づきます。答えられる範囲を紙に書いて、行かれる方が全員持っておくだけで、後の苦労がずいぶん減ります。

渡すものの支度も、事前の仕事です。品物の写真、寸法、扱い方、そして問い合わせ先。その場で渡せる形になっていないと、興味を持ってくださった方が持ち帰るものがありません。凝った冊子である必要はありません。一枚に収まっているほうが、たいてい残ります。

ブースは、品物より先に「何者か」を伝えます

通りかかった方は、まず何の会社かを知ろうとします。産地の名も、技法の名も知らない方が大半です。品物を並べる前に、どこで、誰が、何を作っているのかが、離れた場所からでも分かるようにしておきます。

そのうえで、手に取れる品を前に置きます。壊れやすい品ばかりを並べると、触れてよいのか分からず、足が止まりません。触っていただけるものが一つあるだけで、立ち止まる方の数が変わります。

もうひとつ、言葉の支度があります。工程や道具の名前は、日常の言葉に置き換えにくいものが多くあります。その場で訳そうとすると、通訳の方も困りますし、伝わり方が毎回変わります。よく使う言葉の一覧を先に作り、訳し方を決めておいてください。十語か二十語で足ります。これがあるだけで、商談の精度がずいぶん変わります。

出る前に決めること 決めておかないと起きること
持ち帰るもの(何を聞いて帰るか) 名刺の枚数が成果になってしまう
会いたい相手への事前の連絡 当日の時間が埋まらず、通訳が空く
離れた場所から見て分かる掲示 何の会社か分からず、通り過ぎられる
手に取れる品を前に置く 触れてよいか分からず、足が止まらない
よく使う言葉の訳し方 説明が毎回変わり、話が噛み合わない
帰ってから何を直すかの決め方 反応が記憶のまま消える

帰ってからの改良までが、ひと回りです

会場で受けた指摘は、その場では小さなことに見えても、持ち帰って並べると傾向が見えます。寸法のこと、価格のこと、手入れのこと。次の一回に向けて直すところまでが、この段階の仕事です。

そのためには、会期中に書き留めておく必要があります。誰が、何を言ったか。その方はどういう立場の方か。記憶に頼ると、帰国して数日で薄れます。一日の終わりに十分だけ時間を取って、その日の会話を書き出しておいてください。

持ち帰った話は、社内で一度並べてみてください。同じ指摘が三度出てきたら、それは思いつきではなく傾向です。一人が強く言われたことより、何人もが同じところで手を止めたことのほうが、直す値打ちがあります。直す先が決まったら、次に出るまでに間に合う分だけを選びます。全部に手を入れようとすると、次の一回が遠のきます。

そして、一回で決まることは、まずありません。出る、聞く、直す。この周期を何回か重ねる前提で計画を組みます。費用の見方も、この周期で考えます。一回あたりの出展料だけを見ると高く感じますが、何回で何を得るかを先に置いておけば、続けるかどうかを決められます。組み立て方はPHASE5 海外展開にまとめています。

どう進めるか

出展を考えておられるなら、次の五つを先に確かめてみてください。

  • この一回で、何を持ち帰るのかを一文で書けるか
  • 会いたい相手の名前が、いくつか挙がるか
  • 離れた場所から見て、何の会社か分かる掲示を用意できるか
  • よく使う言葉の訳し方を、事前に決められるか
  • 何回出るつもりで費用を見ているか

五つのうち二つ以上が空いているようでしたら、出る時期を少し後ろにずらしてでも、そこを埋めるほうが結果として早く進みます。いまは出ない、という判断もあります。国内で手応えのある品がまだ定まっていない時期に出ると、聞いて帰った話を活かす先がありません。順番を戻したほうがよいと考えたときは、当社からもそのようにお伝えします。海外へ出る前に確かめることは海外に出る前に確かめることに置いています。

当社は、海外展開を五つの段階に分けてご一緒しています。ご相談は経営・事業診断から承っており、結果をご報告して課題を特定するところまでは無償です。

まずは無料の経営・事業診断から

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