産地に相談できる人がいないとき kogei_ai 2026年9月2日

産地に相談できる人がいないとき

産地を支えたい気持ちはあるけれど、相談を受けてもつなげる先の心当たりがない。以前に専門家をお招きしたが、一度きりで終わってしまった。自治体・組合のご担当者から、こうしたお話をよく伺います。人がいないことは、たしかに地方の産地では大きな壁です。ただ、続かなかった理由のほうは、人選ではなく、呼ぶ前の段取りにあることが少なくありません。

一度きりで終わるのは、呼ぶ前に決まっています

事業者の課題が整理されないまま引き合わせると、初回は現状を伺うだけで終わります。そして、次の予定が入りません。専門家の側からすれば、何をどこまで求められているのかが分からないので、次を提案しにくいのです。事業者の側も、何を頼めばよいのか分からないまま時間が過ぎます。

ですから、呼ぶ前に決めておくことがあります。誰の、どの課題を、どこまで進めたら一区切りとするのか。この三つです。ここが決まっていれば、初回から中身の話に入れます。逆に、決まっていないまま日程だけを組むと、顔合わせで終わります。

整理は、専門家を呼ぶ前でもできます。ご担当者が事業者から伺った話を、症状のままではなく、なぜそうなっているかまで一段掘っておく。それだけで初回の中身が変わります。呼び方の進め方は専門家の派遣とマッチングにまとめています。

噛み合わないのは、たいてい前提のずれです

専門家の言うことが正しくても、事業者に届かないことがあります。作れる量、家族の事情、これまでの取引の経緯。現場の前提を知らないまま出された正論は、受け取りにくいものです。

これは、支える側と作る側のあいだでも起きています。どちらかが間違っているわけではなく、立っている場所の前提が違うだけです。

ずれるところ 支える側 作る側
時間の区切り 年度で区切って組み立てる 季節と受注の波で動いている
言葉 要綱や様式の言葉で伝える 手元の作業の言葉で考える
成果の測り方 件数や執行の状況で見る 手元にいくら残ったかで見る

そのまま向き合うと、同じ言葉が違う意味で行き交います。ですから、引き合わせる前に現場の話を伺っておきます。ご担当者が把握しておられることを先に共有いただけると、ずれはかなり減ります。この役については事業者と行政の間をつなぐで扱っています。

「使われない」は、断られたのとは違います

回る順番は、実態を伺った結果から決められます。名簿の数と、いま動いておられる先の数は違います。休んでおられる、注文を受けていない、代替わりを控えている。数えるだけで、支援の設計はずいぶん変わります。そして調査は、数えるためだけのものではありません。行政から一軒ずつ声をかけられた経験のない事業者は、思いのほか多いものです。

案内を出しても相談が上がってこないとき、必要とされていないのだと受け取ってしまいがちです。けれども実際には、忙しくて読めていない、書類の言葉が分からない、以前に断られた記憶がある、といった事情のほうが多いようです。

私たちが事業者に伺うときは、相談したい内容だけでなく、相談していない理由を必ずお尋ねします。届かない理由が分かれば、中身より先に、届け方を変えられます。説明会に来ていただけないという場合も、集める形から、伺う形に変えてみると景色が変わります。一軒ずつ回るのは手間ですが、来ていただけない方こそ、いちばん支援が要る先であることが少なくありません。

外から補うときに、決めておくと続くこと

外の者を入れる場合でも、続く形と続かない形があります。続く形にはいくつか共通点があります。

ひとつは、初回の終わりに、次に何を持ち寄るかを決めておくことです。宿題が両側にあると、次が入ります。専門家の側だけが宿題を持つ形にすると、事業者は受け身のままになり、二回目が「報告を聞く会」になります。

ひとつは、分野を最初から決めきらないことです。ひとつの産地で必要になるのは、たいてい複数の分野です。迷われる場合は、まず全体を見る役から呼ぶほうが進みます。当社の場合は、商品企画、販路開拓、WEBの発信、生産や事務の改善、産学官の連携、海外への展開、資金の組み立てといった分野の者がチームで入り、受け持ちを分けます。誰か一人が全部を見るより、分野ごとに受け持ちが決まっているほうが、事業者にとっても分かりやすくなります。

ひとつは、担当が替わっても続く形にしておくことです。取り組みが途切れる理由でいちばん多いのは、関心が薄れたことではなく、回しておられた方が異動され、引き継ぐ人がいなかったことです。誰が事務を持ち、何をどこまで決めてよいのかを先に取り決めておく。決めたことを短く書き残しておく。地味ですが、ここが続くかどうかを分けます。

そしてもうひとつ。間に立つ役は、必ずしも外部の者でなくてかまいません。組合の中に長く関わってこられた方がいれば、その方がいちばん向いています。域内の方が担い手になることは、いちばん続く形です。外から入る者は、その方が育つまでのあいだ、あるいはその方がいない場合に入るものだと考えています。

どう進めるか

専門家をお招きになる前に、次の五つを確かめてみてください。

  • どの事業者の、どの課題を扱うのかが決まっているか
  • どこまで進んだら一区切りとするかを、言葉にできているか
  • 現場の前提(作れる量、家族の事情、取引の経緯)を、先に共有できるか
  • 初回の終わりに、次の持ち寄りを決める段取りになっているか
  • 域内で、いずれ間に立てそうな方に心当たりがあるか

五つのうち二つ以上が空いているようでしたら、呼ぶ日を決める前に、そこを埋めるほうが早く進みます。また、いまは呼ばない、という判断もあります。ご担当者が一人で兼務しておられる時期に予定を増やすと、続きません。順番を戻したほうがよいと考えたときは、当社からもそのようにお伝えします。

当社は、実態の把握から、支援の体制づくり、個別の課題への専門家の派遣まで、ご一緒しています。域内の事業者の方には、無料の経営・事業診断をご案内いただくこともできます。ご担当者から一軒ずつお声がけいただく際の、入口としてお使いいただけます。自治体・組合の皆さまに向けたご案内は自治体・関連事業者の方へにまとめています。

まずは無料の経営・事業診断から

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