「まだ相談する段階ではない」と思うとき moribito 2026年8月12日

「まだ相談する段階ではない」と思うとき

外の人間に相談するかどうかを迷うとき、多くの方が同じ言い方をされます。「まだ相談する段階ではない」。この一言は、遠慮でも先延ばしでもなく、たいていは正確な自己判断です。ただ、そう感じている理由は方によって違います。理由が違えば、次にすることも変わります。ここでは、その理由のほうを見てみます。

私たちは「相談していない理由」を、わざわざ伺っています

無料の経営・事業診断でお使いいただく設問には、外部の専門家への相談についての項目があります。伺うのは、相談したい内容だけではありません。まだ相談していない場合は、その理由も伺っています。

相談していない理由を聞く診断票は、あまり多くないかもしれません。それでも項目に入れているのは、この答えが、事業の状況をよく表すためです。何に困っているかと同じくらい、なぜ外に持ち出していないかが、いまの位置を教えてくれます。

もうひとつ、これまでの取り組みについても伺っています。分野ごとに、取り組んだことがあるか、うまくいったか、そのとき外部の支援を受けたか。過去にお願いしてうまくいかなかった経験も、そのまま伺う形にしてあります。そこを飛ばして「今度は大丈夫です」とお伝えしても、意味がないためです。

「まだ段階ではない」の中身は、3つに分かれます

迷いの理由は、大きく次の3つに分かれます。どれに近いかによって、次にすることも、持ちかける相手も変わります。

迷いの理由 実際に起きていること 先にすること
何を相談すればよいか分からない 困りごとが分かれていない 課題を3つまでに分けて並べる
誰に話せばよいか分からない 課題ははっきりしているが、持ちかける先が思い当たらない すでにお付き合いのある方から当たる
以前お願いして、うまくいかなかった 次に頼むときの条件が言葉になっていない 何が合わなかったのかを書き出す

1. 何を相談すればよいか分からない

困りごとはある。けれども、それが売上の話なのか、人の話なのか、設備の話なのかが分かれていない。この状態で相談の場に着くと、話があちこちに飛んで、結局その日は何も決まりません。相談する側にも、受ける側にも、疲れだけが残ります。

この場合に必要なのは、相談相手を探すことではなく、課題を分けることです。私たちの診断では課題を5つに整理して伺っていますが、ご自身で並べるところから始めていただいてかまいません。並べ方については何から手をつけるか分からないときの、順番の決め方で扱っています。

2. 誰に話せばよいか分からない

課題ははっきりしているのに、持ちかける先が思い当たらない場合です。この場合、外の専門家を探す前に確かめたいことがあります。その課題は、すでにお付き合いのある方が近い場所にいらっしゃるかもしれません。

資金や決算の話であれば、取引のある金融機関や顧問の税理士の方。原材料や道具の調達であれば、長く取引されている仕入先。制度の手続きであれば、産地の組合や自治体の窓口。まずそこに当たってみて、それでも残った部分が、外の者を使っていただく場所です。私たちは、最初に呼ばれる相手である必要はないと考えています。

3. 以前お願いして、うまくいかなかった

これが最も根の深い理由です。過去に外部の支援を受けたけれど、提案が現場に合わなかった、報告書だけが残った、途中で担当が代わった。そうした経験があると、次に頼む気持ちにならないのは自然なことです。

この場合に確かめておきたいのは、何がうまくいかなかったのかです。提案の中身が合わなかったのか、進める体制がなかったのか、そもそも解いてほしい問題が共有されていなかったのか。ここが言葉になっていると、次に誰かへ持ちかけるときの条件がはっきりします。

私たちが取り組みの実績を分野ごとに伺い、そのとき外部の支援を受けたかどうかまで確かめているのは、この経験を飛ばさないためです。同じ形の支援をもう一度受けることが、正しいとは限りません。報告書までで終わってしまったのなら、次は実行まで見る形が要ります。現場に合わなかったのなら、決める前に現場を見る手順が要ります。過去の一件は、次の頼み方を決める材料になります。

相談する段階は、整ってから来るものではありません

よく伺うのが、「もう少し整理してから相談します」という言葉です。お気持ちは分かります。ただ、順番としては逆になっていることがあります。整理するために相談する、という使い方があってよいはずです。

課題が整理できていない状態は、こちらにとって困った状態ではありません。むしろ、整理する前の言葉のほうが、実際に起きていることをよく表しています。整えられた資料からは、かえって見えにくくなることもあります。

そのうえで、私たちが向いていないこともお伝えしておきます。技術や意匠そのものの指導は行っていません。何をどう作るかについて、産地の外にいる者が正解を持っているとは考えていないためです。お力になれるのは、売上、承継、販路、資金、仕組みといった事業の側面です。この線引きは、最初にお伝えするようにしています。

相談する前に、手元で書けること

次の5つは、誰かに会う前にご自身で書けるものです。書けない項目があれば、そこが最初の相談内容になります。

  • いま困っていることを、3つまでに絞れるか
  • その3つは、それぞれ別の話か(同じ原因から出ていないか)
  • すでに相談できる相手がいる項目は、どれか
  • 過去に外部へ頼んだことがあるか。そのとき何が残り、何が残らなかったか
  • 相談した結果、何が決まればよいと思っているか

最後の項目が、いちばん大切だと考えています。相談の場は、答えをもらう場ではなく、決めるための材料を揃える場です。何が決まればよいかが決まっていれば、相手が誰であっても、その時間は無駄になりません。

経営・事業診断は、結果のご報告までは費用をいただいておりません。課題が整理されていない段階でも、承継の話が動き出す前でも、そのままの言葉で伺っています。「後継者がいない」という言葉をほどくでも触れましたが、言葉が混ざったままの状態こそ、外の者と話す値打ちがある場面だと考えています。

まずは無料の経営・事業診断から

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