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直販と卸のバランス

直接お売りする道と、店に置いていただく道。どちらかを選ぶ話として語られがちですが、実際には両方が別の働きをしています。ここでは、二つをどう組み合わせるかを置きます。
こんな状態にお心当たりはありませんか
- 直接売る場を持ちたいが、取引先にどう伝えるか決まっていない
- 同じ品が、場所によって違う値段で並んでいる
- 手元に残るものを増やしたいが、知っていただく機会が減るのが心配だ
- 包み方や応対の仕方が、売る場所ごとにばらばらになっている
直販は残り、卸は広がる
直接お売りするほど、手元に残るものは大きくなります。一方で、店に置いていただくことには、別の値打ちがあります。知っていただく機会と、その店に選ばれたという信用です。これは、自分たちだけでは作れません。
ですから、手元に残るものだけを見て卸を減らしていくと、短い期間では数字が良くなり、その先で知られる機会が細っていきます。二つは別の働きをしているので、片方だけでは回りません。
循環として設計する
いちばん効くのは、二つを行き来する流れを意図して作ることです。店で知ってくださった方が、その後こちらの売り場や工房へ来てくださる。この道すじを、偶然に任せず設計しておきます。
難しいことをする必要はありません。品に添える紙に、作り手のことと連絡先を入れておく。工房を訪ねられる旨を書いておく。それだけで、店で出会った方との関係が続きます。店から奪うのではなく、店では扱えないもの(工房での時間、修理、あつらえ)をこちらが受ける、という分け方にしておくと、双方に無理がありません。
価格の筋を通す
直接売る場を持つと、同じ品を違う値段で並べることになりがちです。ここを崩すと、置いてくださっている店の信用を損ないます。店に来られたお客様が、こちらの売り場で安く売られていることに気づいたとき、傷つくのは店との関係です。
そうならないよう、値段の決め方の筋を先に置いておきます。品目を分ける、時期をずらす、直接売る場では組み合わせを変える。どれを選ぶかは、その取引の重さによって変わります。そして、黙って始めるより、先にお伝えするほうが結果として長く続きます。条件の整え方は小売・セレクトショップとの取引にまとめています。
比率は、いまの段階で変わります
直販と卸の割合に、決まった正解はありません。いま自社が、知っていただく時期にいるのか、手元に残るものを厚くする時期にいるのかによって変わります。一度決めた割合を固定して持つと、段階が変わったときに合わなくなります。
| いまの段階 | 重くなる側 | そのときに気をつけること |
|---|---|---|
| 知っていただく時期 | 卸・展示会 | 手元に残るものが薄くなる。作る手が保つか |
| 手元を厚くする時期 | 直販 | 知られる機会が細る。既存の取引先との関係 |
| 作る手が足りない時期 | 絞る | やめる先へ、理由を添えて先に伝える |
そして、どちらの道を通っても、最後にお客様が受け取る体験は自社のものです。包み方、応対、買っていただいた後の手当て。ここは売る場所で変えず、揃えておいてください。売上全体をどこから動かすかの整理は、コラム「売上を伸ばす」を4つに分けて考えるもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
- 直接売る場を持ちたいのですが、取引先に言い出しにくいです
- 先にお伝えするほうが、後から知られるより関係が保たれます。同じ品を同じ条件で並べるのでなければ、多くの場合は受け入れられます。どこを分けるのかを一緒にお伝えすると、話が進みやすくなります。
- 卸をやめて、直販だけにするのはどうでしょうか
- 手元に残るものは増えますが、知っていただく機会をご自身で作り続ける必要が出てきます。いま新しいお客様がどこから来ているかを確かめてから決められることをお勧めしています。そこが卸経由であれば、切った瞬間に流れが止まります。