写真がばらばらだと、何が起きるか kogei_ai 2026年9月7日

写真がばらばらだと、何が起きるか

展示会の申し込み、小売店からの依頼、雑誌の掲載、通販の画面。写真は、たいてい頼まれてから手元を探して送ります。一枚ずつ見れば、どれも悪くありません。ところが、出した先を並べて眺めると、明るさも背景も色味も違っていて、別の会社のもののように見えることがあります。困るのは、それがこちらからは見えないところです。

一枚ずつ送っていると、そろわなくなります

ばらつきは、誰かが手を抜いたから生まれるのではありません。そのつど、そのときにある一枚を出しているうちに、少しずつ離れていきます。去年の展示会用に撮ったもの、通販のために自分で撮ったもの、取材のときに先方が撮ったもの。撮った目的も、撮った人も違うのですから、揃わないほうが自然です。

揃っていないと、見る側は「どれが本当の色なのか」というところから考え始めます。工芸の品は、色と質感が判断のかなりの部分を占めます。そこが揺れていると、良し悪しの前に迷いが入ります。問い合わせをためらう理由は、たいてい言葉になりません。ですので、こちらには届きません。

もう一つ、費用の面でも静かに出ていくものがあります。同じ品物を、二度も三度も撮り直しているということが起こります。そのつどの手間は小さいので、帳簿には「撮影費」としてしか残りません。何度撮り直したかは、どこにも残りません。

前提として、こう考えています。品物は、使われている時間よりも、見られている時間のほうが長いものです。手に取っていただく前に、画面の中で何度も見られている。だとすれば写真は、売るための飾りではなく、品物の顔そのものです。掛ける費用も、その前提で考えるほうが筋が通ります。

分かれ目は、何を撮るかより、何を揃えるかです

撮る腕前の話に見えて、実際に差が出るのは、撮る前に決めてあるかどうかです。

頼まれてから撮る場合 決めてから撮る場合
撮る単位 そのとき要る品物だけ 同じ決めごとで、まとめて
決めておくもの とくに無い。前回を思い出す 背景・光・置き方の三つ
依頼が来たとき 手元を探すところから始まる 渡せるものが、すでにある
二年後 ばらばらの写真が増えている 同じ調子の写真が増えている

決めておくことは、多くありません。背景をどうするか、光をどう取るか、小道具を入れるかどうか。この三つが揃っているだけで、別々の日に撮ったものが並んでも、同じ会社のものに見えます。逆に言えば、ここを決めずに撮り続ける限り、枚数が増えるほどばらつきも増えていきます。

撮る単位も、決めごとの一つです。一点ずつ、要るたびに撮るのと、同じ日にまとめて撮るのとでは、並べたときの揃い方がまるで違います。同じ日の同じ光で撮ったものは、多少構図が違っても不思議と馴染みます。日を分けるのであれば、せめて同じ時間帯に、同じ場所で。それだけでも、ばらつきはかなり収まります。

機材の話は、そのあとで構いません。高い道具を買わなくても、光の使い方と構図の基本を押さえるだけで、写真はずいぶん変わります。買うかどうかの判断は、決めごとが定まってからのほうが間違いません。何をどう撮るかの具体は写真をどう用意するかにまとめてあります。

品物だけを白い背景で撮った一枚も要りますが、それだけでは使う場面が伝わりません。暮らしの中に置かれた様子、その場との釣り合いが見える一枚を、あわせて用意しておかれるとよいと思います。この種の写真は、季節や場所を選びます。頼まれた日にすぐ撮れるものではありません。

いま撮らなければ、二度と撮れないものがあります

作っている途中の写真です。工程や手元を写したものは、技そのものに値打ちを感じてくださる方に、強く届きます。完成した品物の写真は、後からでも撮り直せます。けれども、その日の工程は、その日にしかありません。

道具が替わることもあります。材料が替わることもあります。作っている方が替われば、その手はもう写せません。撮っておかなかったことに気づくのは、たいてい必要になった日です。そのときには、もう撮れません。

ですので、工程の写真だけは、用が無くても撮っておかれることをお勧めします。特別な日を待つ必要はありません。ふだんの仕事の途中で、何枚か。撮った日が分かるようにしておけば、後から順に足していけます。溜まったものは、そのまま会社の持ち物になります。

どこまでを外に頼むかも、あわせて考えておかれるとよいところです。撮り方や整え方は外に頼めます。けれども、どの工程がこの仕事の要なのか、なぜその手順なのかは、作っておられる方にしか分かりません。撮る人を呼ぶ前に、何を撮ってほしいかをこちらが言えるかどうかで、上がってくるものが変わります。載せる中身をどう数えるかはサイトを作り直す前に、書けることを数えるにも書きました。

どう進めるか

いま全部を撮り直す必要はありません。次の五つを確かめてみてください。

  • 直近に出した写真を三枚並べたとき、同じ会社のものに見えるか
  • 背景・光・置き方について、決めごとを言葉にできるか
  • 暮らしの中で使われている場面の写真が、一枚でもあるか
  • 作っている途中の写真が、この一年のうちに撮れているか
  • 頼まれたとき、探さずに渡せる場所に置いてあるか

一つ目で「見えない」となっても、慌てて撮り直さなくて構いません。次に撮る一件から、決めごとを当てていけば十分です。そのうちに、古いものが自然に入れ替わります。一度に揃えようとすると費用が大きくなり、たいてい途中で止まります。

五つ目の「探さずに渡せるか」も、意外に効いてきます。良い写真があっても、誰かの端末の中にしか無ければ、頼まれた日には出てきません。置き場所を一つに決め、社内の誰でも取り出せるようにしておく。名前に品物と撮った日を入れておく。これだけで、渡すまでの時間がずいぶん短くなります。急ぎの依頼ほど、この差が出ます。

何を載せるかそのものから考えたい場合はホームページに何を載せるかをご覧ください。当社は撮影そのものを請け負う立場ではありませんが、どこから手をつけるかを一緒に並べるところから、お力になれると考えています。経営・事業診断は、結果をご報告して課題を特定するところまでを無償で承っています。

まずは無料の経営・事業診断から

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