納期が読めないとき、どこを見るか kogei_ai 2026年9月3日

納期が読めないとき、どこを見るか

「その品、いつ頃になりますか」と伺われて、少し間を置いてからお答えになる。そして納める日が近づくと、決まって苦しくなる。納期が読めないという状態は、めずらしいことではありません。ただ、読めないことの負担は、遅れることそのものよりも、別のところに出ています。

読めないことの負担は、遅れることではありません

納期が守れなかったときのことを思い浮かべると、まず取引先へのお詫びが浮かびます。もちろんそれも負担ですが、実際にはもっと手前で、静かに効いているものがあります。いつ空くのかが分からないと、次の話を受けるかどうかを決められません。

そうなると、二つのうちどちらかに寄ります。受けられるかどうか分からないので、とりあえず受けておく。あるいは、迷惑をかけたくないので、断る。前者は納期が重なって苦しくなり、後者は受けられたはずの仕事を手放しています。どちらも、読めないことが原因で起きています。

もうひとつ、相手側から見た姿があります。聞いても確かな答えが返ってこない相手には、急ぎの話や、日程の決まっている話は持ち込みにくくなります。腕を評価していただいていても、日程の話になると別の先に回る。これは品物への評価とは別の理由で外れているので、こちら側からは気づきにくいところです。

遅れは、作っている時間の外で起きています

納期が読めないと聞くと、作業が思ったより長引くのだろうと考えがちです。ところが実際に一つの品を追いかけてみると、手が動いていた時間より、動いていなかった時間のほうが長いことがよくあります。遅れの多くは、作業の速さではなく、待ち時間と割り込みから生まれています。

ですから、遅れたときに「思ったより手間がかかった」で片づけないほうがよいと考えています。どこで止まっていたのかを分けて見ると、打てる手が違ってきます。

遅れたときの説明 そこで疑うところ
材料が届くのが遅かった 発注の時期。手を動かす前に決まっている部分
外へ出した工程から戻らなかった 相手先の予定を、こちらの日程に織り込んでいるか
急ぎの用が入って中断した 割り込みを、誰がどう判断して入れているか
仕上がりが思わしくなく、やり直した 差が出やすい工程はどこか。何を見て判断しているか
乾かす・寝かせる時間が要った これは短縮できない。日程の側に最初から入れる

この五つは、性質がまったく違います。いちばん下の一つは動かせないものですから、短縮の対象ではなく、日程に最初から入れておくものです。一方で上の三つは、段取りと判断の問題ですから、手を入れられます。混ぜて「遅れた」とだけ記録していると、動かせるものと動かせないものが同じ扱いになります。

割り込みについては、もう少し申し上げておきたいことがあります。急ぎの用を引き受けること自体は、悪いことではありません。問題は、引き受けた分がどこかの日程を押していることが、誰にも見えていない場合です。受けた瞬間に、後ろへずれる品が決まっています。そこが見えていれば、先方へ早めにお伝えすることもできるようになります。

ここまでを測ってみると、たいてい一か所に詰まりが見つかります。そしてその詰まりは、多くの場合、特定の方お一人に工程が集まっている場所です。その方の手が空くまで、前の工程で仕上がったものが並んで待っています。

ここで手を打つとすれば、二人目を育てるか、その工程の一部を外へ出すか、前後の順序を入れ替えて波をならすか、という選び方になります。どれを選ぶかは、その工程が技の中心にあるかどうかで変わります。中心にあるものを外へ出すことはできませんから、その場合は育てる側の話になります。

そして、この見立ては納期だけの話ではありません。その方が退かれたときに何が止まるのかを、先に示しているからです。工程を書き出し、何を見て判断しているかを言葉にする作業は、そのまま次の代への手がかりとして残ります。承継の側から見た記録の残し方は技を記録するで扱っています。

平均でお答えすると、半分は遅れます

ここが、判断の分かれるところだと思います。同じ品でも、仕上がるまでの日数は毎回ぶれます。三十日で終わることもあれば、四十五日かかることもある。このとき、いつもの日数としてお伝えするのは、たいてい真ん中あたりの数字です。

けれども、真ん中の数字でお約束すると、その数字を超える回が必ず出ます。そのたびにお詫びをすることになり、こちらも消耗します。ぶれること自体は、手仕事では避けられません。避けられないものを、避けられる前提でお約束していることのほうに、無理があります。

ですので、お伝えの仕方を変えるという考え方があります。ひとつは、長くかかった回のほうに寄せてお伝えする。もうひとつは、幅でお伝えする。幅でお伝えすることは、あいまいにすることとは違います。「三十日から四十五日ほど、途中で一度ご連絡します」は、真ん中の一つの数字より、相手にとって扱いやすい情報です。

そして、そのためには自社のぶれ幅を知っている必要があります。ここは勘では出ません。何回か通して測ってみると、平均と一緒に、幅も見えてきます。測り方そのものは生産管理の第一歩にまとめてあります。難しい仕組みは要らず、工程を書き出して日数を書き添えるところから始められます。

どう進めるか

仕組みを入れる前に、次の五つが手元で言えるかを確かめてみてください。

  • いちばん数の出ている品について、工程を最初から最後まで書き出せるか
  • 直近の数回で、それぞれ何日かかったかを言えるか
  • そのうち、手が動いていた日と、待っていた日を分けられるか
  • 遅れた回について、上の表のどれに当たるかを言えるか
  • いま、どの工程で仕事が並んで待っているかを言えるか

三つ目が、いちばん手応えのある問いだと思います。待っていた日が思ったより多いと分かった時点で、見るところが変わります。作業を速くする話ではなく、段取りと順序の話になるからです。

全部の品を測る必要はありません。ひとつ通してみれば測り方が決まりますので、二つ目からは楽になります。ずっと測り続ける必要もなく、工程や人が変わったときに測り直す、という付き合い方で足ります。記録の取り方から入るのが重い場合は、紙の受発注を変える前に決めることもあわせてご覧ください。

当社がこの領域でお手伝いするときも、仕組みの話から入ることはしていません。まず、いちばん数の出ている品を一つ選んで、どこで止まっているかを一緒に見ます。そのうえで、動かせるところと、動かせないところを分けます。項目ごとの整理はガイド 第8章 設備・生産に置いています。経営・事業診断は、結果をご報告して課題を特定するところまでを無償で承っています。

まずは無料の経営・事業診断から

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