担い手が減るということ moribito 2026年8月12日

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担い手が減るということ

担い手が減るという話は、人数の問題として語られがちです。けれども産地の仕事で先に効いてくるのは、人数そのものよりも、ひとつの工程が欠けたときに何が止まるかという問題です。ここでは、その見分け方から整理します。

こんな状態にお心当たりはありませんか

  • 特定の工程を、いまはおひとりの方に頼っている
  • 頼んできた工程の担い手が、近いうちに退かれそうだ
  • 道具や材料を分けてくださる先が、以前より減っている
  • 人を迎えたいが、何を任せるかを言葉にできていない

減っているのは人数ではなく、工程です

ひとつの品物が仕上がるまでには、いくつもの工程があります。その工程が一社のなかで完結している場合もあれば、前後の工程や、道具・材料の支度を、外の方に担っていただいている場合もあります。

外に頼っている工程がある場合、担い手の減少は自社の人繰りだけの話ではなくなります。ひとつの工程が欠けると、ほかの工程がどれだけ健在でも、品物は仕上がらなくなります。人数が何割減ったかという数え方では、この止まり方は見えてきません。

ですから、担い手の話を人材募集の話としてだけ考えると、手当てが遅れます。先に確かめたいのは、自社の品物が仕上がるまでの道すじのうち、代わりのきかない場所がどこかということです。

代わりのきかない工程を、先に見つける

一度にすべてを手当てすることはできません。順番をつけるために、次の3つを書き出してみてください。紙とペンだけで進められます。

  1. 工程をすべて書き出す外の方に担っていただいている工程も、道具や材料の支度も含めて並べます
  2. 代わりを頼める先があるかを書き添えるすぐに頼める、探せば見つかりそう、心当たりがない、の3つで足ります
  3. 心当たりがない工程から考えるその工程が止まったとき、何が作れなくなるかまで書き添えておきます

この一覧ができると、担い手の話が「人が足りない」という漠然とした不安から、どの工程を、いつまでに、どう引き継ぐかという段取りの話に変わります。課題そのものの並べ方については、第2章 経営の現在地を知るで扱っています。

打ち手は、人を迎えることだけではありません

私たちが経営・事業診断で伺う5つの課題のうち、ひとつが「後継者や担い手の確保・育成」です。想定する打ち手として挙げているのは、人材の確保と教育です。ただし、迎える前にできることもあります。

先に見るところ 考えられる手立て
代わりのきかない工程 引き継ぎの段取り、手順の記録、外との連携
人が続かない作業環境 作業環境の改善、組織体制の見直し
作り手の時間が事務に取られている 受発注・在庫の整理、IT・DXの導入
継ぐ意思はあるが決めきれない 承継の進め方の整理、後継者の育成

下の2つは、担い手の課題に見えて、実際には別の章の話です。手が足りない原因が仕事の回し方の側にある場合は第8章 設備・生産・DXを、継ぐ方をめぐる話は第3章 担い手と事業承継をご覧ください。

よくあるご質問

後継者がいないのですが、まず何をすればよいですか
継ぐ方を探す前に、いまの事業が継げる状態にあるかを確かめることをおすすめしています。売上の見通し、借入の状況、工程の引き継ぎ。この3つが曖昧なままだと、候補の方が現れても話が前に進みません。詳しくは第3章 担い手と事業承継で扱います。
技を記録に残したほうがよいと言われました。どこまで残せばよいのでしょうか
残す細かさは、その工程に代わりがきくかどうかで変わります。代わりのきかない工程ほど、手順だけでなく、なぜそう判断するのかまで残す値打ちがあります。何をどこまで残すかは品目によって違いますので、実際の工程を伺ってからご一緒に考えます。

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