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暮らしが変わり、置かれる場所が変わった

品物そのものは変えていないのに、以前ほど動かなくなった。そう感じるとき、変わったのは品物ではなく、それが置かれる場所であることがあります。使われる場面が変われば、作るものの前提も変わります。
こんな状態にお心当たりはありませんか
- 長く作ってきた品物が、以前ほど動かなくなった
- 贈りものやしつらえの需要が、以前より読みにくい
- 新しい層に向けた品を作りたいが、当てがない
- 展示会で手応えはあるのに、注文につながらない
変わったのは品物ではなく、置かれる場所です
品物は、使われる場面とともに選ばれます。住まいの広さ、食卓のかたち、贈りものの習わし、人を迎える機会。こうした場面が変われば、同じ品物でも置かれる場所がなくなります。技が古びたわけでも、仕事が粗くなったわけでもありません。前提のほうが動きました。
この見立ては、そのまま打ち手を分けます。品質の問題だと考えるかぎり、さらに丁寧に作るという方向にしか進めません。置かれる場所の問題だと分かれば、寸法、価格帯、使い方の伝え方、届ける先という、別の手立てが見えてきます。
使われる場面から考える、という順番
私たちが商品づくりをご一緒するときは、市場調査から始めて、コンセプト、企画開発、そして販路という順で進めます。最初の市場調査は、どこで売れているかを調べるためというより、誰の、どの場面に置かれる品物にするのかを決めるために行います。
| 決めること | 場面が決まると見えてくること |
|---|---|
| 寸法と重さ | どこに置き、どう仕舞うのか |
| 価格帯 | 自分のために選ぶのか、贈るために選ぶのか |
| 仕上げと手入れ | 毎日使うのか、折々に使うのか |
| 包みと説明 | 手渡すのか、遠方へ送るのか |
逆に、場面が決まらないまま試作に入ると、良い品物ができても置き場所が決まりません。展示会で手応えがあったのに注文につながらないという場合、ここが決まっていないことがあります。手応えは品物への評価で、注文はその方の暮らしのなかに置き場所があるかどうかの答えだからです。
新しく作ることだけが、答えではありません
新しい層に届けたいというご相談は、必ずしも新商品の話とは限りません。いまある品物でも、組み合わせ、寸法の見立て、使い方の伝え方を変えることで届く場合があります。新しく起こすか、いまあるものを活かすかの判断は、第4章 商品をつくるで扱います。
どちらを選ぶかは、5年後・10年後にどの姿をめざすかとも地続きです。経営・事業診断では、将来の姿を5つの型でお尋ねしています。同じ品物でも、体制を保つことを選ぶのか、新しい顧客層に向かうのかで、いま先にすべきことが変わります。順番の決め方は第2章 経営の現在地を知るをご覧ください。
訪れた方の目に、先に触れていただく
置かれる場所を考えるとき、国内だけに限る必要はありません。ただし順番があります。私たちが海外展開をご一緒するときは、いきなり海外へ出るのではなく、国内の販路と、日本を訪れた方に手に取っていただく場面を先に置きます。実際に触れて持ち帰っていただいた経験が、そのまま海外での入口になると考えているためです。進め方は第10章 海外へで扱います。
よくあるご質問
- 新しい商品を作らないと、この先は難しいでしょうか
- そうとは限りません。まず、いまの品物が誰のどの場面に置かれているかを確かめます。置かれる場所がまだある場合は、伝え方と届け先を変えるだけで動くことがあります。作るものを増やすのは、そのあとでも遅くありません。
- 体験や工房の見学を受け入れたほうがよいでしょうか
- 目的によって変わります。売上をつくるためなのか、担い手を迎えるためなのか、地域への発信のためなのかで、必要な支度も、続けるための体制も違ってきます。目的を決めるところからご一緒に考えます。