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流通の変化と、産地が持てる選択肢

どこを通してお客様に届けるか。産地が選べる経路は、以前より増えました。ただし増えたのは選択肢であって、答えではありません。ここでは経路ごとの違いと、選ぶときの考え方を整理します。
こんな状態にお心当たりはありませんか
- 取引先が減り、残った先への頼り方が大きくなっている
- 直販を始めたいが、既存の取引先との関係が気になる
- 通販の窓口は開いたものの、置いたままで動いていない
- 展示会には出ているが、そのあとの取引が続かない
経路が増えたということは、選ぶ必要が生まれたということ
かつては、産地からお客様へ直接届く経路は限られていました。品物は問屋や小売店を通じて手渡され、産地は作ることに専念できました。その代わり、誰がどんな場面で使っているのかは、産地からは見えにくいままでした。
いまは、自社のホームページ、SNS、通販、展示会、品物を選んで置く小売店と、届け方の選択肢が増えています。選べるようになったということは、選ばなければならなくなったということでもあります。すべてを同時に走らせるだけの手が、産地の側にあるとは限りません。
経路ごとに、向き不向きがあります
| 経路 | 向いていること | 手のかかるところ |
|---|---|---|
| 自社サイト・SNS | 品物の背景や作り手を伝える | 続けて出し続ける手が要る |
| 展示会 | 短い期間にまとめて出会う | 出る前の支度と、その後の連絡 |
| 小売・セレクトショップ | 選ぶ目を持つ方に置いていただく | 掛率・数量・納期の取り決め |
| 通販 | 遠方の方へ直接お届けする | 写真、説明、発送の体制づくり |
この表に「いちばん良い経路」はありません。どれを選ぶかは、いま何を増やしたいのか――新しい出会いなのか、一点あたりの単価なのか、続けていただく注文なのか――によって変わります。経路ごとの具体的な進め方は第5章 販路をひらくで扱います。
直販と卸は、どちらかを選ぶ話ではありません
直販を始めたいというご相談で、多くの方が最初に気にされるのは、既存の取引先との関係です。同じ品物を産地が直接お売りすれば、置いてくださっている先の立場があります。ここを曖昧にしたまま始めると、長く続いてきた関係が細くなることがあります。
一方で、直接届ける経路をひとつも持たないままだと、使ってくださる方の声が産地に戻ってきません。次に何を作るかの手がかりが、いつまでも外にあることになります。ですからどちらかを選ぶのではなく、扱う品物、価格の見せ方、お知らせする順番で折り合いをつけていくことになります。
取引条件の実際は、品目によっても地域によっても大きく違います。一般論で決められる部分ではありませんので、実情を伺ってからご一緒に考えます。
届ける先を増やす前に、見つけていただけるか
経路を増やしても、探されたときに見つからなければ届きません。産地の名前や品物の名前をご存じない方にとっては、検索の結果に出てこないものは、無いものと同じです。この変化そのものは次のWEBとAIで「選ばれ方」が変わったで、何をどう書いておくかについては第6章 伝わる発信で扱います。
よくあるご質問
- 通販の窓口は開いたほうがよいですか
- 開く前に、何を、いくらで、誰が発送するのかを決めておくことをおすすめしています。ここが決まらないまま開くと、注文をいただいてから止まります。開くかどうかより、続けられる形になっているかが分かれ目です。
- 展示会に出る意味はありますか
- 出ること自体よりも、出る前に何を決めているかで変わります。どういう方に会いたいのか、その場で何を受け取って帰るのか。準備の多くは会場ではなく事前にあります。進め方は第5章 販路をひらくで扱います。