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サイトを作り直す前に、書けることを数える
「サイトが古いので、そろそろ作り直したい」というご相談を、よくいただきます。たしかに見た目は古びます。ただ、作り直したあとに載せる中身が以前と同じであれば、見え方はあまり変わりません。器を新しくする前に、中に入れるものが手元にどれだけあるのかを数えておくと、費用の掛けどころが見えてきます。
器を新しくしても、中身が同じなら結果は変わりにくい
いま多くの産地で起きているのは、見た目の古さより、書いてあることの少なさのほうが響いているという状態です。品物の写真は並んでいるけれども、何に使うものなのか、どういう場面に向くのか、手入れはどうするのかが書かれていない。紙の資料には書いてあるのに、画面には出ていない、ということもよくあります。
探す道具そのものも変わりました。人が読むより先に機械がページを読み、要約して差し出す場面が増えています。この背景はWEBとAIで「選ばれ方」が変わったにまとめてありますので、そちらをご覧ください。ここで申し上げたいのは、読む相手が変わっても、読ませる材料が無ければ何も起きないということです。
作り直しの相談が途中で止まりやすいのも、たいていここです。見た目の話は進むのに、原稿の話になると誰も手を挙げない。そのまま数か月が過ぎ、話が流れてしまう。止まる原因は費用ではなく、書く人が決まっていないことにあります。
作り直すか、書き足すか
どちらが正しいという話ではありません。いま困っていることがどちらなのかで分かれます。
| 作り直しが向く場面 | 書き足しが向く場面 | |
|---|---|---|
| いまの困りごと | 携帯電話で見ると崩れる。自分たちで直せない | 見られてはいるが、問い合わせにつながらない |
| 先に要るもの | 載せる原稿と写真。無いまま始めると空の器ができる | 書く人と、書く順番 |
| 費用のかかり方 | まとまった額が一度に | 少しずつ。手間のほうが大きい |
| 効き始めるまで | 公開してから、中身を足すぶんだけ遅れる | 足したところから順に |
順番を迷われたときは、先に書き足してみて、それでも直らない不便だけを作り直しの理由にするという進め方があります。書き足す作業のなかで「何を伝えたいのか」がはっきりしてくるので、いざ作り直すときの注文も具体的になります。
もうひとつ、作り直しを考えるときに抜けやすいのが、公開したあとのことです。誰がいつ中身を足すのか、写真は誰が撮るのか、問い合わせが来たら誰が返すのか。作る費用は見積もりに出てきますが、続ける手間は見積もりに出てきません。月に一度でよいので、書き足す時間をあらかじめ仕事の予定に入れておかれると、公開したあとで止まりにくくなります。逆にその時間を取れないのであれば、規模を小さくして始めるほうが、結果として長く続きます。
書く材料は、すでに工房の中にあります
新しく考える必要はありません。日ごろお客さまから受けている質問が、そのまま材料になります。同じことを三度聞かれたなら、それは書いておくべきことです。
たとえば、どんな場面で使うのか。どのくらいの大きさなのか。手入れはどうするのか。割れたり傷んだりしたときに直せるのか。届くまでにどれくらいかかるのか。贈り物にできるのか。こうした問いへの答えは、すでに口では説明しておられます。口で言えることは、書けます。書けないのは、材料が無いからではなく、書く時間が仕事の中に置かれていないからです。
もうひとつ、外に頼める部分と、そうでない部分の切り分けも大切です。文章の整え方、写真の撮り方、画面の作り方は外に頼めます。けれども、何をどう作っているのか、なぜその形なのかは、作っている方にしか出せません。ここを外に丸ごと預けると、どこかで見たような言葉が並びます。似た言葉は、似た品として扱われます。
書く量も、多ければよいわけではありません。長い文章より、問いにまっすぐ答えている短い文章のほうが、読む側にも、機械にも扱いやすくなります。飾らずに、聞かれたことに答える。それだけで十分に違いが出ます。うまく書こうとすると手が止まりますので、まずは話し言葉のまま書き出して、あとから整えると楽です。
写真についても、同じことが言えます。きれいに撮ることより、何を写すかのほうが効きます。白い背景に置いた一枚だけでは、大きさも重さも伝わりません。手に持ったところ、使っている場面、他のものと並べたところ。作っている途中の手元。こうした写真は、道具を揃えなくても、いまお持ちの携帯電話で十分に撮れます。撮った日付だけ記録しておけば、後から順に足していけます。
どこから手をつけるか
次の五つを確かめると、作り直しが必要かどうかが見えてきます。
- お客さまから繰り返し受けている質問を、五つ書き出せるか
- その答えが、いまのサイトに書かれているか
- 品物の使う場面と手入れの仕方が、写真だけでなく文章で載っているか
- 問い合わせの窓口が、迷わず見つかるか
- 中身を足す人が、社内で決まっているか
順番としては、まず一枚だけ作ってみるのが楽です。よくいただくご質問とその答えを並べたページを一枚。それを公開して、問い合わせの内容が変わるかを見ます。変わらなければ、問いの選び方が違っていたということです。一枚なら、直すのもやめるのも簡単です。いきなり全体を作り直すと、うまくいかなかったときに戻す先がありません。
最後の一つが決まらないうちは、作り直しても同じ状態に戻ります。逆に、いまは何もしなくてよい場面もあります。受注がいっぱいで新しい問い合わせを受けきれない時期、代を継ぐ話が動いている時期。そうしたときは、無理に発信を増やすと、応対のほうが先に崩れます。
何から手をつけるかで迷われている場合は何から手をつけるか分からないときの、順番の決め方を、売り先そのものを考え直したい場合は展示会・小売店・ネット販売の選び方をご覧ください。当社は、経営・事業診断から始めて、必要な打ち手を一緒に並べていきます。診断は、結果をご報告して課題を特定するところまでを無償で承っています。