伝統工芸の事業経営ガイド > 第6章 伝わる発信 > AIに見つけられるということ
AIに見つけられるということ

調べる方がページを開く前に、AIが代わりに読み、まとめて差し出す場面が増えました。そのとき読まれているのは、産地がご自分で書いた文章です。どう書いておけば正しく伝わるのかを整理します。
こんな状態にお心当たりはありませんか
- 業界では通じる言葉を、そのまま説明なしで使っている
- 「伝統的な技法で丁寧に」といった書き方が中心になっている
- 創業の年や扱う技法が、どこにも書かれていない
- サイトと会社案内で、書いてあることが少し食い違っている
まとめられるのは、書いてあることだけです
AIは、手触りを確かめません。工房を訪ねることもありません。手元にあるのは、産地が文字で残したものだけです。文字にされていない中身は、まとめる材料になりません。
ですからここでの仕事は、新しい仕掛けを入れることではなく、すでにお持ちの中身を、読み取れる形に置き直すことになります。なぜ探され方そのものが変わったのかはWEBとAIで「選ばれ方」が変わったにまとめました。ここから先は、書き方の話だけを扱います。
専門の言葉には、ひとこと添える
技法の名、道具の名、産地でしか通じない呼び方。これらは中身の濃い言葉ですが、それだけを置くと、初めての方にもAIにも意味が渡りません。直後に短い言い換えを添えるだけで、読み取れる情報に変わります。
そして、この手間はAIのためだけのものではありません。贈りものを探しておられる方、はじめて手仕事に触れる方にとっても、同じように助けになります。両方に効く数少ない手だと考えています。
曖昧な言葉より、確かめられる事実を
「長く受け継がれてきた技」「丁寧なものづくり」。どれも正しいのですが、どの産地でも同じように書けてしまいます。言い換えのきく言葉は、その産地を指し示す力を持ちません。置き換えるのは、確かめられる事実です。
| 曖昧になりがちな書き方 | 置き換える中身 |
|---|---|
| 古くから続く工房です | 創業の年と、代を重ねてきた数 |
| 伝統的な技法で作ります | 技法の名と、主な工程の順 |
| 厳選した素材を使います | 素材の名と、産地や仕入れの考え方 |
| 高い評価をいただきました | 評価の名称と、受けた年 |
右側は、いずれもご自分で確かめられることばかりです。裏づけのある記述は、要約されたときに形が崩れにくく、引かれ方も正確になります。
媒体がばらばらだと、確からしさが下がる
サイト、発信の場、紙の資料、取り上げていただいた記事。ここで創業の年や扱う品目が食い違っていると、読む側は、どれが本当なのかを決められません。これは人にとってもAIにとっても同じことです。
そこで、会社の基本の事実を一枚にまとめ、どこへ出すときもそこから写す形にしておきます。直したときは、その一枚を先に直します。場ごとの使い分けはSNSの選び方と続け方にまとめました。
技法や来歴は、あとから買い足せません。時間をかけなければ持てない中身であり、だからこそ、正確に書き続けることがそのまま他所には真似のできない持ち物になります。語り方そのものは産地の物語をどう語るかで扱います。
よくあるご質問
- AIに取り上げていただくための、特別な設定が要るのでしょうか
- 設定より先に、書かれているかどうかが効きます。技法・素材・沿革・扱う品目が自社のページに文字で置かれていることが土台です。仕組みの工夫は、書くものが揃ってからでも遅くありません。
- 受賞や掲載の実績がありません。それでも書けることはありますか
- 実績の有無より、扱う品目・技法・素材・引き受けられる仕事の範囲が書かれているかどうかのほうが効きます。無いものを書く必要はありません。ホームページに何を載せるかにある四つの項目から始めていただくのがよいと考えています。