相談がかみ合わないのはなぜか kogei_ai 2026年9月2日

相談がかみ合わないのはなぜか

以前に相談してみたけれど、話がかみ合わなかった。持ち帰ったのは一般論だけだった。そういう経験をお持ちの方は、少なくありません。そして多くの場合、その経験は次の相談をためらわせます。ただ、かみ合わなかった理由は、相手選びを誤ったからとは限りません。相談の入口の作り方で、受け取れるものはずいぶん変わります。

症状のまま相談すると、相手の得意な箱に入ります

「売上が落ちている」「人が足りない」「材料が上がった」。相談は、たいていこうした一文から始まります。これらはどれも症状です。症状は、そのままでは打ち手に結びつきません。

たとえば「注文が減った」という一文でも、事情はさまざまです。取引先そのものが減っているのなら、届け方の話です。納期に応えられない日が続いて声がかからなくなったのなら、作れる量の話です。値上げをお願いした直後であれば、価格の伝え方の話かもしれません。同じ一文から、少なくとも三つの別の話に分かれます。

症状のまま相談すると、聞いた側は自分の得意な箱に入れて答えます。販路に詳しい方なら販路の話を、資金に詳しい方なら資金の話をされます。どちらも間違ってはいません。ただ、自分の事情に当たっていない答えが返ってくるので、かみ合わなかったという感じだけが残ります。症状と原因の分け方は5つの課題の切り分け方に整理しています。

いちばん役に立つのは、うまくいかなかった話です

私たちが伺うとき、相談したい内容だけでなく、これまで相談してこなかった理由も必ずお尋ねします。ここを飛ばさないのには理由があります。

以前に申請をして通らなかった。展示会に出たけれど手応えがなかった。外の方に入ってもらったが、話が合わなかった。そうした経験があると、同じ種類の打ち手を勧められても、気持ちとして動けません。それを伏せたまま話を進めると、勧める側は同じ提案を出しますし、受け取る側は前と同じ理由で動けません。

うまくいかなかった経験は、恥ずかしい話ではなく、次の順番を決めるための材料です。多くの場合、問題は打ち手そのものではなく、進め方や時期が合っていなかったことにあります。先にお話しいただけると、同じ道を二度歩かずに済みます。

資料は、揃っていなくてかまいません

整った資料がないと相談できない、と思われている方が少なくありません。揃っている必要はありません。むしろ、揃うまで待っているうちに時期を逃すことのほうが多いように思います。

あると話が早いもの 無くてかまわないもの
直近の売上の、おおよその推移 正確に整えた決算の説明資料
いまの人員の構成と、年齢の見当 作った名簿や組織図
主な取引先が何軒あるか 取引条件をまとめた一覧
借入が、いつごろ終わるか 返済計画の書類一式
これまでに相談した相手と、その結果 そのときの提案書

右側のような書類は、作るのに何日もかかります。しかも、作っているあいだ、事業のほうは止まりません。整えることに時間を使った結果、相談の時期が半年後になった、という場面をよく見ます。手元にあるものをそのままお持ちいただくほうが、かえって実際の姿が伝わります。

左側は、正確でなくてかまいません。傾向が分かれば十分です。数字を整えることに時間を使うより、いま困っていることを話すほうが、得られるものは大きくなります。

誰が同席するかで、進み方が変わります

もうひとつ、できればお願いしたいことがあります。お金と人の話が必ず出ますので、経営の判断をされる方に同席していただけると、その場で確かめながら進められます。

ご家族で営んでおられる工房では、判断される方と、実際に手を動かしておられる方が別、ということがあります。片方だけで話を進めると、持ち帰ってから話が止まります。止まった理由が相談の中身ではなく、話が共有されていなかったこと、という場面をよく見ます。

難しい場合は、あとで確認していただく箇所を書き添えてご報告します。ご一緒できる形を、こちらでも探します。

一度で決めようとしないこと

もうひとつ、かみ合わなさを生みやすいのが、一度の相談で結論まで出そうとすることです。話す側は、限られた時間で全部を伝えようとして、いちばん気になっていることから遠い話に時間を使ってしまいます。聞く側も、その日のうちに答えを出そうとして、確かめきれないまま案を出します。

課題どうしはたいていつながっていますので、ひとつの課題だけを取り出して結論を出すと、別のところで止まります。担い手を迎える話は、売上の見通しが立っていないと踏み出せません。設備の更新と資金の確保も、ほとんどの場合ひと組で動きます。ですから、初回は状況を並べるところまで、と決めておくほうが、結果として早く進みます。

相談の相手を選ぶときも、同じ見方が使えます。その場で答えを断言される方より、何が分かっていて、何がまだ分からないのかを分けて話される方のほうが、あとで頼りになります。分からないことを分からないと言えるかどうかは、その方が現場を見てきたかどうかとも重なります。

どう進めるか

相談される前に、次の五つを手元で書き出してみてください。整った文章でなくてかまいません。

  • いま困っていることを、症状ではなく「なぜそうなっているか」まで一文で書けるか
  • その状態が、いつごろから続いているか
  • これまでに試したことと、その結果を思い出せるか
  • 相談してこなかった理由が、自分のなかで言葉になっているか
  • 相談の場に、判断される方が同席できるか

五つのうち二つ以上が空いていても、相談を先送りにする必要はありません。整理する役は、こちらが引き受けます。順番はこちらからお尋ねしますので、思いつく順にお話しいただいて差し支えありません。何から手をつけるかの決め方は何から手をつけるか、順番の決め方にまとめています。

そして、伺った結果、私たちよりも適した相手がいると判断した場合は、そのようにお伝えします。産地の技術や様式そのものについて、こちらが正解を持っているとは考えていません。事業の側面でお力になれると考えた場合にだけ、具体的な進め方をご提案します。当社が診断で何を見ているかは経営・事業診断で何を見るかに書いています。診断は、結果をご報告して課題を特定するところまでを無償で承っています。

まずは無料の経営・事業診断から

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