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共同購買という手

一社では動かせない条件も、同じ材料を使う先が集まれば動くことがあります。ただし、値段の話から始めると、たいてい壊れます。ここでは、成り立たせるために先に揃えるものを置きます。
こんな状態にお心当たりはありませんか
- 使う量が少なく、こちらから条件を持ちかけにくい
- 同じ材料を使う先が近くにあるが、話したことがない
- 組合はあるが、材料の話をする場になっていない
- まとめて買いたいが、誰が取りまとめるかが決まらない
効くのは値段だけではありません
複数の先で量をまとめると、一社ずつでは持ちにくい条件を持てることがあります。ただ、値段が下がることだけを目当てにすると、下がらなかった時点で話が終わります。まとめることの値打ちは、値段のほかにもう二つあります。
ひとつは、仕入先を分けて持てることです。一社に頼りきりの状態から、複数の供給元を確保しやすくなります。もうひとつは、在庫の負担を分け合えることです。まとめて仕入れたものを、それぞれが必要なときに引き取る形にできれば、置き場所と資金の負担が一社に集まりません。
とくに、材料そのものを作る方が減っている場合、この二つのほうが効いてきます。値段の問題なのか、供給の問題なのかの見分け方は原材料の脆さは、産地ひとつでは解けないにあります。
まず、すでにある枠組みを確かめる
新しく仕組みを作る前に、いま使える場がないかを確かめます。産地に組合があるなら、そこが入口になります。組合が材料を扱っていなくても、同じ材料を使う先が誰かは把握していることが多くあります。
ゼロから会を立ち上げるのは、いちばん時間のかかる道です。既にある集まりの議題に材料の話を一つ足す、という形から始められないかを先に見ます。組合が無い産地では、同じ材料を使う先へ個別に声をかけるところからになります。
産地の側で受け皿そのものをつくる話であれば、それは事業者一社の仕事ではありません。自治体や組合の立場からの進め方は第11章 産地・組合・自治体のためにで扱っています。
揃えるのは、値段ではなく規格と条件
一口に同じ材料といっても、必要な等級も、寸法も、一度に納めていただく単位も、工房ごとに違います。そこを揃えないまま人数だけ集めて条件を持ちかけると、仕入先の側は結局一軒ずつ相手をすることになり、条件は元の位置へ戻ります。
| 先に揃えること | 確かめる中身 |
|---|---|
| 規格 | 等級、寸法、質のばらつきをどこまで許すか |
| 数量と時期 | それぞれの年間の使用量と、要る時期 |
| 支払い | 誰が立て替え、いつ精算するか |
| 取りまとめ役 | 誰が窓口になり、その手間をどう分けるか |
四つ目が、いちばんつまずくところです。取りまとめの手間は必ず誰かにかかります。その分をどう扱うかを決めないまま始めると、その方が続けられなくなった時点で仕組みごと止まります。
あわせて、抜けるときの決まりも先に置いておきます。参加する側にとっては、抜けられると分かっているほうが入りやすいものです。公平な決まりを先に文字にしておくことが、信頼を保つ形になります。
一品目から、小さく始める
最初から扱う材料を広げると、揃えるべきことが増え、話がまとまりません。使う先が多く、規格の差が小さい材料を一つだけ選んで試すのが、確かめながら広げられる形です。
一度回してみると、机の上では見えなかったことが出てきます。誰がいつ発注するのか、納品の受け取りをどうするのか、質にばらつきが出たときにどう扱うのか。これらは一品目で経験しておけば、次から使い回せます。
取引条件そのものの持ちかけ方は価格交渉の考え方で、新しい仕入先の探し方は仕入先を新しく開拓するで扱っています。共同購買は、この二つと組み合わせて使うものです。
よくあるご質問
- 近隣の工房は競合でもあります。仕入れの話をしてよいものでしょうか
- 売り先や値づけは各社の領分ですが、材料の調達は共通の困りごとであることが多いところです。話す範囲を「材料の規格と数量」に限ると決めておけば、進めやすくなります。どこまでを持ち寄り、どこからは各社で持つかを最初に線引きしておくことをおすすめしています。
- 取りまとめる人が見つかりません
- 組合や、産地の振興に関わる方に窓口を担っていただく形がひとつです。それも難しい場合、まず二社だけで始めて、形ができてから広げるという順序もあります。人数が増えるほど調整の手間は増えますので、無理に大きくしないほうが続きます。