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代替材料を検討するときの判断

材料を替えることには、ためらいがあると思います。ここでは、替えるかどうかを決める前に確かめておくことと、替えると決めた場合に踏む順序を置きます。何を守るべきかを決めるのは、作ってこられた方ご自身です。
こんな状態にお心当たりはありませんか
- これまで使ってきた材料が、手に入りにくくなっている
- 費用のために替えることに、後ろめたさがある
- 替えた場合、お客様にどう伝えるか決めていない
- 試してみたいが、どこまで確かめれば十分か分からない
費用を下げるためだけの検討ではありません
代替材料の話は、安く作るための工夫として語られがちです。けれども、実際に検討が必要になるのは、これまでの材料が手に入らなくなりつつあるときのほうが多いところです。
産出そのものが減っている、扱う先が続けられなくなった。こうした事情であれば、費用の話ではなく、この先も作り続けられるかどうかの話になります。備えとして先に検討しておくのと、無くなってから慌てて探すのとでは、選べる幅がまったく違います。
いま起きていることがどちらなのかの見分け方は原材料の脆さは、産地ひとつでは解けないに、値上がりへの手当ての全体像は原材料が値上がりしたときの選択肢に置いています。
何を変えてよく、何を変えてはいけないか
ここが、この判断のいちばん難しいところです。そして、何がその技術と様式を成り立たせているのかを決められるのは、その仕事を続けてこられた方だけです。私たちが外から線を引くことはできません。
お手伝いできるのは、線を引くための問いを並べるところまでです。次の三つを、材料ごとに分けて考えていただくと、輪郭がはっきりしてきます。
| 問い | 確かめる中身 |
|---|---|
| その材料は、何を担っているか | 見た目か、手ざわりか、耐久性か、工程の成立そのものか |
| 替えると、何が変わるか | 仕上がり、扱いやすさ、寿命、直せるかどうか |
| 買ってくださる方は、どこを見ているか | その違いに気づかれるか、気づかれたときどう受け取られるか |
三つ目まで含めて考えると、同じ材料でも品目によって答えが変わることがあります。ある品では替えられないが、別の品では十分に成り立つ、という切り分けが出てきます。すべてを一律に決めなくてよい、というのがここでの要点です。
守る部分と変える部分を分ける考え方そのものは、コンセプトの立て方や既存商品を見直すでも扱っています。材料の話と商品の話は、地続きです。
確かめる期間を、先に取ります
替えると決めてから納品までの間に、確かめる時間を必ず挟みます。急いで切り替えて後から不具合が出ると、材料の問題ではなく、その工房の品物の問題として受け取られます。
試すのは、仕上がりの見え方だけではありません。使い続けたときにどうなるか、直せるかどうか、季節や湿りけで変わらないか。時間が経たないと出ない違いがあります。だからこそ、余裕のあるうちに始めておく値打ちがあります。
試したことは、そのつど残しておきます。何をどう試して、どこが違ったか。この記録は、次に材料が動いたときにそのまま使えますし、お客様にご説明するときの裏づけにもなります。残し方は技を記録すると同じ考え方です。
替えたことを、隠さずに伝えます
材料が変われば、仕上がりもどこかで変わります。気づかれないだろうと考えて黙っていると、気づかれたときに失うものが大きくなります。先にお伝えしておくほうが、結果として残ります。
お伝えするのは、替えた理由と、何がどう変わるかです。手に入りにくくなったこと、そのうえで作り続けるために選んだこと。替えることは、伝統を壊すことではありません。何を守るかを決めたうえで、変えられる部分を変えていく。それ自体が、長く続いてきた仕事のやり方でもあります。
よくあるご質問
- お客様に伝えると、値打ちが下がって見られませんか
- 伝え方によります。安くするために替えた、と受け取られると値打ちは下がります。手に入らなくなったなかで作り続けるために選んだ、という経緯とあわせてお伝えすると、受け取られ方は変わります。何を守るために何を変えたのかを、言葉にしておくことが要になります。
- どこまで試せば、切り替えてよいと判断できますか
- 品目によって違いますので、一律の目安を申し上げることはいたしません。目安として置けるのは、その品物が実際に使われる期間のうち、いちばん条件の厳しい場面を通したかどうかです。試した内容と結果を残しておかれると、判断の材料がそろっていきます。