仕入先を新しく開拓する moribito 2026年9月1日

伝統工芸の事業経営ガイド > 第7章 原材料と調達 > 仕入先を新しく開拓する

仕入先を新しく開拓する

新しい仕入先を探すのは、いまの取引をやめるためではありません。比べられる相手を持っておくことが、条件の話をするときにも、供給が止まったときにも効いてきます。ここでは探し方と、動かすときの順序を置きます。

こんな状態にお心当たりはありませんか

  • 主な材料を、長年おなじ一社から仕入れている
  • その仕入先が続けられなくなったら、代わりの当てがない
  • 先方の担当者が高齢で、この先の話をしたことがない
  • ほかにどこが扱っているのか、調べたことがない

切り替えるためではなく、備えるために探します

新しい先を探すというと、いまの取引先に不義理をするように感じられるかもしれません。けれども、ここで探すのはいますぐ切り替えるためではありません。比べられる相手を知っておくこと自体が、備えになります。

備えが要るのは、値段のためだけではありません。材料を供給してこられた先そのものが、続けられなくなることがあります。そうなってから探し始めると、選ぶ余地がないまま決めることになります。探すのに時間がかかるものほど、余裕のあるうちに動いておきます。

いま起きていることが自社の買い方の問題なのか、供給の側が細っているのかの見分け方は原材料の脆さは、産地ひとつでは解けないにあります。後者であれば、一社で探すより共同購買という手のほうが先に効くことがあります。

探す道は、ひとつではありません

どこを当たればよいか分からない、という段階で止まっていることがよくあります。入口は、大きく三つあります。

  1. 同じ材料を使う方に伺う産地の中でも外でも、同じ材料を扱う先はいます。取引の重ならない相手なら、教えていただけることがあります
  2. 業界の集まりや展示会で当たる材料や道具を扱う先が出ている場では、その場で条件を伺えます。品物を見て決められるのも利点です
  3. 組合や支援の窓口に尋ねる産地の組合や、産業を支える立場の方は、扱っている先を把握していることがあります

三つとも、一度で見つかるものではありません。探す作業は、何かが起きてから始める仕事ではなく、ふだんの仕事のはしに置いておくものです。年に一度、聞いて回る機会を決めておく形でも足ります。

小さく試してから、動かします

候補が見つかっても、いきなりまとまった量を頼まないほうが確かです。まず少ない量で取り引きし、届いたものと、届くまでのやりとりを確かめます。紙の上の条件と、実際に届くものが違うことはあります。

試すときに見ておきたいのは、届いた材料そのものだけではありません。頼んでから届くまでにどれだけかかったか、質問への返事がどうだったか、頼んだ内容と違ったときにどう対応されたか。この三つは、一度取り引きしてみないと分かりません。

そして、切り替えるときも一度に移さないほうが安全です。既存の先との取引を残したまま、少しずつ比率を動かします。全部を移した後で質が変わると、戻る先がなくなります。

値段のほかに、四つを見ます

見るところ 確かめ方
質のばらつき 一度ではなく、二度三度と届いたものを比べる
納期 頼んでから届くまでの日数と、その幅
やりとりのしやすさ 質問への返事の早さ、条件が変わるときの連絡
この先も続くか 担い手の様子、扱いをやめる予定がないか

四つ目は伺いにくいところですが、いちばん効きます。値段が安くても、数年で扱いをやめられては元も子もありません。取引を始める前に、この先の見通しを一度伺っておくことをおすすめしています。

条件そのものの持ちかけ方は価格交渉の考え方で、材料そのものを変える判断は代替材料を検討するときの判断で扱っています。

よくあるご質問

いまの仕入先に知られると、関係が悪くなりませんか
探していること自体を伝える必要はありません。ただ、供給が細っている場面では、いまの仕入先のほうから「この先は難しい」と言い出しにくいことがあります。この先も同じ量を頼めるかを、ふだんから伺っておかれると、双方にとって話しやすくなります。
試験の取引に応じてもらえません
少ない量では手間に見合わない、という事情があることが多いところです。同じ材料を使う先と一緒に頼む形にすると、まとまった量になり、応じていただきやすくなります。進め方は共同購買という手に置いています。

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