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新しい顧客層に向けた商品

これまでとは違う方に届けたい。そう考えたとき、いまの品を少しだけ変えて出すという進め方をとりがちです。ここでは、なぜ別立てで組み立てたほうがよいのかと、それでも手放さない部分についてまとめます。
こんな状態にお心当たりはありませんか
- 若い方に向けた品を出したが、これまでのお客様にも新しい層にも届かなかった
- 海外の方に関心を持っていただいたが、次につながっていない
- 新しい層に向けようとすると、自社らしさが薄れていく気がする
- どこまで変えてよいのか、線が決まっていない
延長ではなく、別立てで組み立てる
これまでと違う方に向けた品は、いまの品の延長として考えないほうが、うまく運びます。延長で作ると、これまでのお客様には物足りず、新しい層には中途半端という位置に落ちやすいためです。誰に向けるのかを決め直し、そこから組み立てます。
別立てにするとは、作りを全部変えるという意味ではありません。企画を分けるという意味です。誰の、どの場面に置かれるのか。価格帯はどこか。どこで手に取っていただくのか。これらをいまの品とは別に置き直すと、変えるところが自然に絞られます。
強みは手放さない
新しい層へ向かうとき、いちばん起きやすいのが、自社にしかない技術や意匠を薄めてしまうことです。奇をてらった別物にしてしまうと、選ばれる理由そのものが消えます。他でも作れるものになった時点で、比べられるのは値段だけになります。
調整するのは、価格帯、寸法、使う場面といった、暮らしに合わせる部分です。そのうえで、価格ではなく値打ちで選ばれる設計を通します。安くして裾野を広げる道もありますが、その道に入ると、技を続けるための原資が細っていきます。価格の考え方は試作と価格の決め方にまとめています。
見せる、体験していただくという選択肢
品そのものだけが売り物とは限りません。技術を見ていただく、手を動かしていただく。この形が商品になることがあります。工房の見学や、体験の場と組み合わせた設計です。訪れた方にとっては、持ち帰るものと過ごした時間が一つになります。
海外の方に向かう場合、この形が特に効いてきます。国内で訪日の方に手に取っていただくところから始めると、海外へ出る前に反応が確かめられます。この進め方はPHASE4 国内販路とインバウンドに、全体の順序は第10章 海外へにまとめています。
小さく始めて、反応を見てから決める
新しい層に向けた品は、最初から本格的に投じないほうが安全です。少ない数、限られた場所で試し、反応を見てから広げるかどうかを決めます。合わなかったときに戻せることが、この段階では何より大切です。
| 段階 | やること | 次へ進む目安 |
|---|---|---|
| 試す | 少ない数を作り、限られた場所に置く | 手に取られる場面が見えたか |
| 確かめる | 選んだ方・選ばなかった方の理由を伺う | 選ばれる理由が言葉になったか |
| 広げる | 数と置く場所を増やす | 作り続けられる見通しが立ったか |
よくあるご質問
- いまのお客様が離れてしまわないか心配です
- 企画を分けておくと、この心配は小さくなります。同じ並びに置かず、届ける場所も分ける。そのうえで、これまでの品はこれまでどおり作り続けることをお伝えしておけば、多くの場合は問題になりません。既存の取引先との関係の保ち方は直販と卸のバランスで扱っています。
- 海外向けは、まず何から始めればよいですか
- 出るべきかどうかの見極めから始めることをお勧めしています。作れる量、届ける手間、いまの取引先との関係。この三つが整っていないうちに海外へ出ると、国内の足元が揺らぎます。判断の材料は海外に出る前に確かめることにまとめています。